こんにちは、茶子です。
今日は、カメラのスペックの中でも、撮影の失敗を少なくしてくれる機能の一つ「手ぶれ補正機能」についてお話ししたいと思います。
カタログから読むカメラの性能(下記)の続きになります。
写真よ、なぜ.. 君はブレるのか..
あー、せっかく撮ったのに、ぶれぶれやあーーーって経験はありませんか?
私は結構あります。
なぜこんなことが起きてしまうのでしょう。
簡単に言ってしまうと、カメラのシャッターが開いている間にカメラが動くから。
よく暗い場所で撮影すると手ぶれが起きやすいと言われますが、それは暗い場所だと露出をコントロールするためにシャッタースピードが遅く(シャッターが開いている時間が長く)なり、シャッターが開いている時間がより長ければ、その間にカメラがブレてしまう可能性が高くなるからです。
では、手ぶれを防ぐにはどうするか… 本記事では
- 自分でできる手ぶれ対策を簡単にご紹介したあと
- カメラに搭載されている【手ぶれ補正機能】をご紹介(← こちらがメイン)
していきたいと思います。
まずは、自分でできる手ぶれ防止対策を試してみる
自分でできる手ぶれ防止対策はいろいろあります。
カメラをできるだけ固定する
カメラをできるだけ固定することで、ブレを防ぐことができます。たとえば
- 三脚を使ってカメラを固定する
- 脇をしめて肘を身体に付けてカメラをしっかり構える(手持ち撮影)
- 身体を壁や手すりなどにあずける(手持ち撮影)
などの対策をとることで、随分ブレが防げるはずです。
ブレづらいカメラ・レンズの設定を知っておく
レンズの設定(レンズ選択)や、シャッタースピードの設定で、ブレを少なくすることができます。たとえば
- レンズは、出来るだけ広角側(焦点距離の数値が小さい)を使う
- 手ぶれしないシャッタースピードの目安を知り、その目安の数値より速いシャッタースピードで撮影する
※シャッタースピードの目安については、次の章「手ぶれをしないシャッタースピードの目安 」で解説します
などです。
これらを意識しておくことで、だいぶ手ぶれが少なくなるかと思います。
☆☆ 手ぶれをしないシャッタースピードの目安 ☆☆
手持ち撮影で手ぶれが少なくなるシャッタースピードの目安は、レンズの焦点距離により異なります。
一般的には、
1/ 焦点距離mm (秒)
といわれています。
例えば、広角レンズを使い焦点距離 18mm (35mm版換算) で撮る場合、手ぶれの可能性が少ないシャッタースピードは
1/18秒 以上の速さとなります。
逆に、望遠レンズを使い焦点距離 300mm (35mm版換算) で撮る場合、少なくとも1/300秒の速さのシャッタースピードが必要になるわけです。
このように、より焦点距離が長い(望遠側)と、より速いシャッタースピードが必要になることが分かります。
いま、カメラの手ぶれ補正機能がすごい! ♪
もちろん、基本的な手ぶれ防止対策や、シャッタースピードの目安などを、意識することは大切です。
でもそれに加え、カメラやレンズに搭載されている手ぶれ補正の高い機種を選ぶと、手持ち撮影の限界を超える (!?) かもしれませんし、テンションの上がる写真が撮れるかも (^^)
これからカメラやレンズの購入を検討しているのであれば、ぜひカメラの手ぶれ補正機能もチェックしてみてくださいね ♪
手ぶれ補正には、電子式と光学式があり、3軸補正のものもあれば5軸補正のものもあります。また、補正効果を3.5段や5.5段と表したりします。
【手ぶれ補正効果】~ 3.5段、5段、5.5段??
カメラのカタログやCMで
シャッター速度5段分の補正性能を実現しました
などとうたっているのを目にしたことはありませんか。
この「5段分」という数字はいったい何を言っているだろう?いう方は、この章を参考にしてみてください。
カタログ・仕様書の手ぶれ補正機能欄にある3段補正効果、4段、5段はシャッタースピードと関係します。またこの数字が大きければ大きいほど、補正効果は高くなります。
例えば、仮に約500mm (35mm版換算) の焦点距離で撮ろうと思った場合、手ぶれしない目安のシャッタースピードの限界は1/500秒。(※「手ぶれをしないシャッタースピードの目安」を参照)
つまり通常であれば、これより速い 1/500秒、1/1000秒、といった速さのシャッタースピードで撮る必要があります。
しかし補正効果が「5段分の補正性能」の場合、「シャッタスピードが5段分遅くても手ぶれが少ない」を意味するので、手ぶれしないシャッタースピードの目安として、5段分まで遅くすることが可能といえます。(目安です)
シャッタースピードは下の図のように、変化していきます。一つ数字を変えるとごとに「1段速くする」「1段遅くする」と表現します。
つまり、1/500秒を5段遅くするということは、1/500⇒1/250⇒1/120⇒1/60⇒1/30⇒1/15秒まで遅くしてもブレづらいということなのです。
数字自体はあくまで目安の一つですが、「数字が大きいほど遅いシャッタースピードでもブレづらい」と覚えておくとよいかと思います。
【手ぶれ補正方式】~ 電子式と光学式の違い
カタログ・仕様書の手ぶれ補正機能・方式という欄をみると「イメージセンサーシフト方式」などのように書かれているのがわかります。これは光学式手ぶれ補正ですが、光学式以外に電子式もあります。それぞれメリット・デメリットがあるので見ていきましょう。
電子式
コンピューターによる画像処理で補正する方式です。撮影時に画像をメモリに読込み、複数画像を比較して像のズレを補正する方式です。
電子式の場合、光学式に比べ、よりリーズナブルな価格で搭載できるメリットがあります。
一方、イメージセンサー全体を効率よく使わないことや、画像処理での補正となることから、光学式に比べ画質が劣化するデメリットがあると言われています。
光学式
光学式手ぶれ補正にはいくつかの方式が存在します。
レンズシフト方式
補正用のレンズを(振動ジャイロセンサーの感知した手ぶれに応じ)移動しさせることで、ブレのない画像情報をセンサーへ届けます。
この方式のメリットは、レンズごとに最適化された補正が可能となるため、より補正効果が高いということにあります。
一方、補正機能を搭載することで、レンズがより大型化され、コストも高くなります。
イメージセンサーシフト方式
イメージセンサーを(振動ジャイロセンサーの感知した手ぶれ状況に応じ)移動させることにより、光軸を正確に捕らえます。
この方式のメリットは、カメラ本体に補正機能が内蔵されるため、手ぶれ補正のないレンズを使っても補正してくれる(つまり、レンズの小型化・低コスト化が可能になる)点にあります。
一方、レンズシフト方式に比べ補正が甘くなる場合があるなどのデメリットもあります。また、一眼レフの光学式ファインダーを覗いても補正効果が反映されておらず、撮影された写真を見ないと補正効果を確認できないといったデメリットも。
レンズシフトとイメージセンサーシフトのハイブリッド方式
レンズシフトとイメージセンサーシフトを組み合わせ、より強力な補正を可能にする方式です。
電子式と光学式のハイブリッド方式
光学式でブレを軽減した後まだ残っているブレを電子式で補正する
というように、光学式と電子式を組み合わせた方式です。
【手ぶれ補正方式】~ 3軸補正や5軸補正の軸とは
もう一つ、カタログ・仕様書の手ぶれ補正機能・方式の欄を見ていると気付くことがあります。それは、3軸手ぶれ補正や5軸手ぶれ補正などという言葉。3軸や5軸の補正について、概要を解説します。
カメラのブレには、下の図のようなものがあります
- 回転ぶれ(Roll):夜景などスローシャッター時におきやすい
- 上下角度ぶれ(Pitch)、左右角度ぶれ(Yaw):望遠レンズ使用時におきやすい
- 上下シフトブレ(Y)、左右シフトぶれ(X):マクロ撮影などの時におきやすい
上の図のように、5軸(Roll, Pitch, Yaw, Y, X)全てをカバーしてくれるのが、5軸手ぶれ補正です。
一方、回転ぶれ(Roll)と角度ぶれ(Pitch, Yaw)だけのように3軸のみカバーするのが、3軸手ぶれ補正になります。
ちなみに、手持ち撮影でスローシャッターが切れると話題になったオリンパスのOM-D E-M1 Mark II ですが(2秒、5秒.. なんとそれ以上という報告も?)、強力な5軸手ぶれ補正を搭載しているそう。一度試してみたいですね。
まとめ
基本的な手ぶれ防止対策を意識し撮影することはもちろん大切ですが、これからカメラの購入を検討している場合は、カメラの手ぶれ補正機能もぜひチェックしてみてくださいね。
手ぶれ補正機能の高い機種として、下の記事で紹介したソニーのα7R Ⅲ もおすすめです
カタログから読むカメラの機能と性能
カタログから読むカメラの機能と性能についてまとめたシリーズもよかったらご覧になってみてください。
カタログから読むカメラの機能と性能
※クリックすると(文字色が変わっているところは)そのページへ飛びます
- カタログからカメラの機能と性能を正しく読み解き、比較する方法
- より高画質なカメラの選び方 – イメージセンサーの大きさと開放F値をみてみよう
- 写真表現の幅を広げるカメラの性能 – 絞り、シャッタースピード、焦点距離を見てみよう
- 手ぶれ補正の高いカメラを選べば、夜景や望遠の手持ち撮影も もう怖くない!?( 今はココ)
- 露出補正・ホワイトバランス・ISO感度を調整して、自分好みの写真を作ろう
コメント
コメント一覧 (4件)
茶子さん、おはようございます。
手ぶれ補正の解説、とても解りやすくまとめてありますね。あれもこれも書くと収拾がつかなくなるのが普通なのに、すごいなぁ。
実際に撮影経験を重ねていくと分かるんですが、手ぶれ写真の90%以上は角度ぶれによるものです。
角度ぶれは主に望遠レンズを使用するときに生じやすいという解説がありますけど、望遠レンズはレンズ自体がボディよりも重いので、ちゃんと構えたつもりでもシャッターを押すときにカメラが下方向にわずかにお辞儀することで起こりやすいためですね。
お辞儀しないように構えを固めると、力が入りすぎて横方向に角度ぶれ(笑)。
女子や子供のように非力な人だと構えが甘くなり、望遠レンズでなくても角度ぶれしやすいですし。
ぶれ写真のほとんどは角度ぶれなのて、補正したいのはPitchとYaw。
実際この2軸だけの補正で、ぶれのほとんどは改善できます。
どのメーカーのも、手ぶれ補正機能を持ったレンズ(レンズシフト方式)は一部例外を除いて角度ぶれを補正するPitchとYawの補正だけです。
撮影倍率が高いレンズ(例えばマクロレンズ)ではシフトぶれという水平方向や垂直方向にカメラ自体が動くために起こるぶれもあるんですが、一般的なレンズではまず起こりません。
なのでシフトぶれを補正できるレンズは、マクロレンズや簡易マクロ機能を持ったレンズだけ。それも、マクロレンズでも一部の製品だけです。
私のCanonの簡易マクロ機能があるレンズにはシフトぶれ(XとY)の補正ができますが、お花のアップなどすごく助かりました。
現在のボディ内手ぶれ補正(センサーシフト方式)を備えたカメラではシフトぶれを補正できるので、シフトぶれ補正を持っていないマクロレンズをお持ちの人には神機能なんですよ(笑)。
回転ぶれ(Roll)は、ほとんどは右回り方向のぶれなんですが、これは指がシャッターを押す力で、レンズを中心軸にわずかにカメラが回転することで起こります。
ですが、回転ぶれが起こるときは、それよりもはるかに大きな角度ぶれも起こっているので、ほとんどわかりませんし、固定力のある男性ですと普通に構えていれば回転ぶれはまずないです。
回転ぶれは女子が起こしやすいとも言えると思います。
起こったとしても許容範囲のぶれで収まることも多いですね。
ですので、回転ぶれはほとんど影響がないと言われることもあります。
ただ、角度ぶれをバッチリ補正されますと、回転ぶれは残りますから、ちゃんと補正されたと思うんだけどビミョーにぶれてるような気がする…という感じにはなるかもです。
回転ぶれはレンズでは補正することはできず、ボディ内手ぶれ補正で行うしかありません。
多分ですが、電子水準器に使用されるジャイロセンサーで回転ぶれを検出するからではないかと私は考えています。
長くなりましたので、続きは後ほどです。
茶子さん、長いコメントを送ってしまいすみません…。
でももうちょっとだけ(笑)。
ボディ内手ぶれ補正(センサーシフト方式)は、センサーのサイズが小さいほど効きが良いです。
カタログにはシャッタースピードに換算して「◯段分」という補正値が記されていますが、これは一応カタログ値ということで、実効値はまた別ですねぇ。実効値はセンサーサイズの大きいフルサイズでは段数がカタログ値より少なく、マイクロフォーサーズのような小さいセンサーですとカタログ値に近い実効値が得られやすいです。
ただ、SONYのフルサイズ一眼のα9やα7RⅢ、α99Ⅱは、カタログ値にだいぶ近い補正値を実現しているようで、この機能でもここ1年ほどの技術進歩は著しいものがありますよ。
またレンズでの手ぶれ補正でも、Canonのレンズの補正はかなり強力です。
それと、パナソニックのG9というこれから発売になる新鋭機(マイクロフォーサーズ)は、パナソニック製レンズの手ぶれ補正機能との連携で最高6.5段分の補正が可能とか…。実効5段分としてもすごい補正でビックリです。
実際の撮影でどのくらいの手ぶれ補正があると十分かですが、望遠でない一般的な撮影でしたら実効2段分あれば困ることはそんなにないはずと思います。なので補正段数の大きさをシビアに比較しなくても大丈夫です。
F値の明るいレンズには手ぶれ補正機能がないのですが、手ぶれ補正機能というのはもともと、F値が明るくないレンズではシャッタースピードを遅くしなければならない、そのために手ぶれが起こる、という現象の救済技術だったからです。
F値が明るいレンズはシャッタースピードを速くできるので手ぶれ補正機能はいらない、ということですね。
ところが実際の撮影では、F1.8とかF2くらいの絞りでもシャッタースピードが1/30秒とかあるわけです。手ぶれするかどうか微妙なライン(女子だと手ぶれの確率が高くなる)なんですが、ボディ内手ぶれ補正のカメラですと、レンズに手ぶれ補正機能がなくても安心♪
私がボディ内手ぶれ補正を搭載したカメラ推しの理由です。
手ぶれ補正がついているレンズしか使わないのであれば、ボディ内手ぶれ補正はなくてもそう困ることはないんですけど、カメラが楽しくなって、手ぶれ補正のないF値の明るいレンズ、手ぶれ補正なしのマクロレンズが欲しくなってきたら、ボディ内手ぶれ補正は強い味方!
茶子さんもこれから買われるカメラは、ボディ内手ぶれ補正搭載のものから選ばれることをオススメしまーす(^^)
ちちさすさん、こんにちは!
コメントありがとうございます!
ちちさすさんのようにカメラの経験も知識も豊富な方が教えてくださることって、ほんと勉強になるし楽しいですね。
「なるほど、なるほど」と読ませてもらいました。
今出先なので、後ほどまた返信しますー(^^)
ちちさすさん、おはようございます。
昨日外で風邪をもらってきたらしく、15時間くらいぶっとうしで寝てしまいました。お粥食べてまた寝ます… トホホ
ちちさすさんも、風邪には気をつけてくださいね。
手ぶれって本当にちょっとしたタイミングなんですよね。頑張って構えてるのにシャッターを押すときにブレて「ありゃー」とがっかりすることよくあります。
そして
>お辞儀しないように構えを固めると、力が入りすぎて横方向に角度ぶれ(笑)
あはは、これ確かに!なんだか漫画みたいで笑えるけど、本当にそうですよね。
そうですね、ボディー内手ぶれ補正がいいな~。5軸&5段以上で。できればイメージセンサーはフルサイズ。出来るだけ小型なミラーレスがいいな.. (笑) っていったらもう機種が限られてきちゃいますね。
(実は私、スペック見るの好きです。昔パソコンのスペックにこだわって、自分でパーツを組み立てて遊んでいたくらい、笑。カメラもやっぱり、どんな技術使ってるんだろう?とか、こんなことまで出来るのね!とか感動したりしますw)
でも今回富士フィルムX-T20を使ってみて、色味の美しさとか思いがけない発見があったので、もう少しだけいろいろな機種を試してみたいなと思っているところです。
>回転ぶれはほとんど影響がないと言われることもあります。
>ただ、角度ぶれをバッチリ補正されますと、回転ぶれは残りますから、ちゃんと補正されたと思うんだけどビミョーにぶれてるような気がする…という感じにはなるかもです。
これ、なるほどな~と思いました。確かに、回転ぶれだけだったらそんなに気にならなくても、他のブレがきっちり補正されちゃうと、少しの回転ぶれでも気になって、見たときに「あれ?」となるかも。
ちちさすさんとカメラの話していると楽しいです~。ありがとうございます (*^^*)