謎の生物です。
今回は、ビデオカードの冷却性能を最適化するための、3つの具体的な方法をご紹介します。
ゲーミングPCに搭載されているビデオカードはとにかく超高性能。ビデオカードに高負荷をかけ続けると、大量の電力を消費して高温になります。
ちなみに、筆者が使っているRTX3080では消費電力が最大420W超にも達し、小型の暖房器具並みの熱を放出します。
このように、ビデオカードを過熱した状態で使用し続けると、故障の原因にもなり、本来の性能を発揮することもできません。
ビデオカードの性能を最大限に引き出すためには、ビデオカードの冷却効率を最適化することが大切です。
それでは、GPU Memoryジャンクション温度を20度下げて、マイニング性能を22%向上した、具体的な方法を見てみましょう。
- ヒートシンクを追加してバックプレートを冷やす方法
- PCケース内エアフローの改善方法
- ビデオカード(RTX3080)のサーマルパッドの交換方法
久しぶりにPCを組んだら、ピカピカ光りすぎるPCが爆誕。
癒しをもとめ、部屋の照明をカラーLED化するだけではなく、PCもクリスマスツリーのように光らせている。
完成当初は暖房と照明の代わりにして喜んでいたが、最近はPCの発熱の多さが気になっている。
- 2023.06.17 おすすめGPU情報を追加
- 2021.04.26 記事公開
ビデオカードが過熱すると「サーマルスロットリング」で性能が低下する
精密機器であるPCは、熱に弱いのは知っているかな?
そ、そうなのか?
PCなどの精密機器は熱に弱く、高温状態のまま長時間使用するのは危険なのです。
CPUやGPU(ビデオカード)は、処理負荷が少しでも上がると、あっという間に100℃を超えてしまうため注意が必要。
高温のまま使い続けていると、故障の原因になります。
- 故障の原因となる
- 本来のパフォーマンスが出ない
「サーマルスロットリング」は過熱による破損を防ぐための安全装置
実はCPUやGPU(ビデオカード)には、過熱による故障を防ぐための「サーマルスロットリング / Thermal Throttling」という仕組みが組み込まれています。
CPUやGPUが過熱したときに、「サーマルスロットリング」が処理速度を自動的に低下させ、機器の温度を強制的に下げてくれます。
サーマルは温度、スロットリングは「絞り弁を調整する」つまり、温度によって性能を調整するという意味じゃ。
「サーマルスロットリング」がないと、
PCが燃える可能性があるのだな!
CPUやGPUの熱を下げないと、パフォーマンスが出ない
「サーマルスロットリング」という安全装置があるおかげで、安心してPCを使えるのはうれしいのですが・・
CPUやGPUの温度が高くなりすぎると、下記のような「負の連鎖」が発生してしまいます。
処理が重い最新ゲームや、マイニング等での利用
あっという間に100℃を超過・・
CPU、GPUの処理速度を強制的に低下させる
処理速度が遅くなる
つまり、CPUやGPUが「サーマルスロットリング」が発動するほどの高温に達してしまうと、本来のパフォーマンスが発揮できないため、機器の温度を下げることが重要なのです。
特にGPUは冷やすと、パフォーマンスが飛躍的にアップするぞ
GPUを劇的に冷却するための方法は?
まずは、ビデオカードの構造について見てみましょう。
ビデオカードの構造
ビデオカードは、GPU(Graphics Processing Unit)やVRAMなどが搭載されている基盤を、「バックプレート」と「ヒートシンク」で挟んだ形になっています。
バックプレート
バックプレートは剛性のある金属製のプレートで出来ており、以下の役割を担っています。
- 基盤(GPU、VRAMなどのチップ)の熱をPCケース内に放出する
- 重量のあるビデオカードがねじれないように保持する
基盤
基盤部には、GPU、VRAMなどのチップが搭載されています。
ヒートシンク
ヒートシンクは、
- 基盤(GPU、VRAMなどのチップ)の熱を金属プレートに受け取り、
- ファンでヒートシンクの熱を強制的に冷却
することで、ビデオカードが発する膨大な熱量を冷却します。
多くの熱量を冷却するには、巨大なヒートシンクが必要にります。
最近のビデオカードでは4スロットを占有するほどの分厚いカードが販売されており、2㎏近いビデオカードの重量の8割程度をヒートシンクと大型空冷ファンが占めています。
最近のビデオカードのヒートシンクは
どんどん巨大化しているぞ
ビデオカードを効率的に冷やす方法
ゲームや、マイニングを行うと、ビデオカードの処理負荷が高くなり、ビデオカードに搭載されているGPUやVRAMなどのチップが発熱し、基盤部分が高温になります。
この基盤の熱を、上部の「バックプレート」と、下部の「ヒートシンク」に伝えて、基盤を冷却しているのですが、放熱が追い付かなくなると、ビデオカード全体が高温になってしまいます。
ということは、
- 熱伝導効率の向上:基盤の熱を「バックプレート」や「ヒートシンク」に効率的に伝える
- 放熱能力の向上:「バックプレート」や「ヒートシンク」の放熱能力を上げる
という対策が有効になりそうです。
今回紹介するのは、以下の3つの方法じゃ
対策 | 1.熱伝導効率の向上 | 2.放熱能力の向上 |
---|---|---|
A.ヒートシンクの追加 | ||
B. PCケース内 エアフロー改善 | ||
C. サーマルパッド交換 |
では、それぞれの具体的な事例をご紹介してます。
A.ヒートシンクの追加
ビデオカードの冷却性能を強化する一番かんたんな方法は、「バックプレート」へのヒートシンクの増設です。
ヒートシンクは、熱伝導性の高い金属で作られ、表面積が最大となる複数のフィンから放熱を行う部品です。
ヒートシンクを「バックプレート」に追加することで、バックプレートの放熱性能の向上が期待できるのです。
ヒートシンクの選び方
ヒートシンクには様々な形状、大きさのものが販売されています。
1,500円も出せば、高さ2~3㎝、長さ7cm、奥行5cm程度の製品が購入できるでしょう。
今回筆者が購入したのは、120 x 69 x 高さ27mm のタイプ。もう少し小型の製品もあったのですが、放熱フィンの表面積が大きければ大きいほど、放熱性能が高くなることを期待しました。
CPU空冷ファンを使用している場合は、CPU空冷ファンとヒートシンクが干渉する可能性があるので、ヒートシンクのフィンの高さに注意が必要です。
ヒートシンクの追加例
おすすめのサイズは、10㎝x6㎝程度、フィンの高さが高いほど表面積が増えるのでおすすめです。
これを熱伝導テープで、ビデオカードのバックプレートに貼りつけます。
筆者の場合は、ビデオカードを容易に取り外しできるように、熱伝導テープで固定せず、バックプレートの上にヒートシンクを直接置いています。
ヒートシンクには、シルバーや、メタリックブルーなど、鮮やかな色の製品もありますが、PCケース内で悪目立ちさせないためにも、ブラックがおすすめです。
筆者が使っている、NZXTのH510 EliteというPCケースでは、サイドパネルのガラスがスモークグレーになっているため、ブラックのヒートシンクはビデオカードと同化して、ほとんど目立ちません。
ヒートシンク追加の効果は?
ヒートシンクの効果はどの程度でしょうか?
表面温度を計測する赤外線カメラで測ったわけではないので、あくまでも感覚値ですが、実際にヒートシンクを触ってみると、使い捨てカイロ程度の温度(約40~41℃程度)でした。
バックプレートの温度は、2秒ほど触ってもやけどしない程度の温度だったので、おそらく45℃程度でしょう。
ヒートシンクの追加は試してみる価値あり
すくなくとも、ヒートシンクをバックプレートに設置するだけで、十分にビデオカードの熱を奪っているということは言えるでしょう。
安価に試せるので、ビデオカードへのヒートシンクの追加はおすすめじゃ
簡単なので、いいな!
- ヒートシンクは比較的安価
- 設置は簡単 – ビデオカードのバックプレートに載せるだけ
B.エアフロー改善
PCケース内のエアフローを改善すると、PCケース内の温度が下がるため、GPUの冷却性能の強化におすすめです。
RTX3080の排熱がガラスパネルを直撃してPCケース内に熱が滞留していた
今回の事例でご紹介するのは、NZXTのH510 Eliteという人気のPCケースです。
- 吸気ファン
- フロントファン(14㎝)×2
- 電源ユニットファン×1
- 排熱ファン
- 上面ファン(14㎝)×1
- 背部ファン(12㎝)×1
ガラス製のサイドパネルと、RGBファンがおしゃれなケースなのですが、ビデオカード(RTX3080)を縦置きしないと、排熱がガラスパネルを直撃してしまいます。
実際にPC稼働中にガラス製のサイドパネルを触ると、低温やけどするほどの高温(45℃以上)になっていました。
PCケース内に熱が籠っているため、このままでは、ビデオカードを十分に冷却することは難しいでしょう。
エアフローの改善のために、ファンを増設
滞留するRTX3080の排熱を、PCケース上部に流すために、ファンを2基増設しました。
購入したのは、クーラーマスターのARGBファンです。
ファンは光る必要はありませんが、どうせならばピカピカさせてみたい(?)ということで、ARGBファンを選択しました。
ASUSのマザーボードのRGB端子と接続すると、他のRGB機器と同期させることができます。
ファンは、ネジで固定せずに、ゴム製のファン固定用ピン(ゴムプッシュ)を付けてPCケースの中に置いただけです。
特に震度音などもなく、ぴったりおさまってくれました。
- ARGBとは? RGBとの違いは?
-
ピカピカ光るPCケース用のファンには、ARGB LEDファンと、単なるRGB LEDファンがあります。
ARGBはアドレサブル(Addressable )RGBの略で、内臓されているLED一つ一つに異なる色を表示させることができます。 博士RGBファンは、ファン全体が同じ色に光るが、
ARGBファンは、複数の色のコンビネーションが表示できるのじゃ!
PCケース内エアフロー改善の効果は?
こちらが、エアフロー改善後の写真です。ビデオカードの下にある、ブルーに光る二基のファンが今回増設したものです。
ファン増設による、PCケース内のエアフロー改善の効果は絶大
増設したファンを回すと、新たに発生した上向きのエアフローが、ビデオカード(RTX3080)の排熱をPCケース上面に誘導しているらしく、以前は高温にさらされていたガラス製のサイドパネルが、人肌程度の温度に下がってくれました。
これまでは、PCが熱くなると、サイドパネルを開けたまま扇風機の風をPCに当てていたのですが、「PCケース内エアフローが改善」されたことで、安心してサイドパネルを閉じてPCを使用できるようになりました。
ファン増設は想定したよりも、効果が高かったぞ!
また、増設したファンがビデオカード本体にも直接風をあてているので、ビデオカードの排熱性能の向上にも効果がありそうです。
- PCケースのエアフローを整えると、熱い廃棄熱を効率的にPCケースの外に排出できる。
「ARGBファン」に関連した余談ですが、部屋の照明をカラーLEDに取り換えると、癒し効果のある照明でリフレッシュできるのでおすすめです。
C.サーマルパッド交換
今回ご紹介した3つの施策の中で、GPUの冷却性能の強化に最も効果的だったのは、GPUのサーマルパッドの交換でした。
サーマルパッドとは弾力性のある熱電動シートで、ビデオカードの基盤の熱をバックプレートやヒートシンクに伝える大事な役目を担っています。
メーカーが標準搭載しているサーマルパッドの品質は低い?
海外のYoutuberが紹介していたのですが、どうやら、各ビデオカードメーカーが採用しているサーマルパッドの品質に問題があるようです。
最初に見たのはこちらのビデオだったのですが、
ビデオカードメーカーが使用しているサーマルパッドを、より品質の高いものと交換することで、熱伝導効率が高まり、冷却性能が大幅に改善するのじゃ。
元から使用されていたサーマルパッドを高品質のものに交換したところ、GPU温度が劇的に下がり、サーマルスロットリングが発動しなくなることで、パフォーマンスが大幅に向上したとのこと。
YouTubeで、”RTX3080”、”Thermal pad” などと検索すると、多くの事例を確認できます。
実際にサーマルパッドを交換してみた
一番重要なのが、GPU、VRAMなどのチップと、ヒートシンク側へのサーマルパッドです。
先ほどのYouTubeビデオを参考に、RTX3080のサーマルパッドを交換してみました。
RTX3080の分解
メーカーにより異なるのですが、ビスを外すことでRTX3080のバックプレート、基盤、ヒートシンクは簡単に分解することができます。
ネジをなくさないように注意しましょう。
失敗したら、終わりじゃ・・慎重に!
ビデオカードを分解すると、メーカー保証が切れてしまいます!
ビデオカードはプレミア価格が付くほど高価な部品なので、サーマルパッド交換については、慎重にご検討されることをお勧めします。
サーマルパッドの貼り付け位置
こちらは、筆者が使っている iGame GeForce RTX 3080 Ultra OC 10G という機種の基盤です。
赤い線で囲った範囲が、サーマルパッドの貼り付け位置です。
おすすめのサーマルパッドは?
今回使用したのは、CPUグリスで実績のある、サーマルグリズリー(thermal grizzly)のサーマルパッドです。
今回は、もともと付いていたサーマルパッドと同じ厚さ2㎜のモノを使ってみました。
サーマルグリズリー(thermal grizzly)製品は人気が高いことから、グリスなど偽物が出回っているそうです。必ず正規代理店の親和産業のショップから購入するようにしましょう。
必要なサーマルパッドの量?
今回は、ヒートシンクとGPU基盤側をカバーするだけで、サーマルグリズリーのサーマルパッド(12×2×0.2cm)を2つ使用しました。
け、結構、高価なので驚いた・・
片面分のサーマルパッドだけで5,000円近くするが、換装が成功すれば
それ以上のメリットが享受できるのじゃ。
GPUのグリスも交換
同時に、同じく定評のあるサーマルグリズリーのグリスをGPUに塗布してみました。
更にとんでもないコストが、かかるのか・・
・・・・・。
サーマルグリズリー製品は、かなり高価ですね。
それでも、安価な製品を選んで、知らないで効果の薄い粗悪品を貼ってしまうよりは良いでしょう。
バックプレート側のサーマルパッドも交換
バックプレート側には、少し値段の安いTHERMALRIGHTというブランドの製品を使用しました。
3㎜の製品が欲しかったのですが、在庫がなかったため1.5mmのパッドを重ねて使うことにしました。
こちらが、実際にバックプレート側のサーマルパッドを貼付した写真です。青いプラスティックをはがして、バックプレートと張り合わせます。
今回は1.5mmを2枚張り合わせて3㎜として使用しましたが、サーマルパッドの厚さはメーカーによって異なります。元から使用されているサーマルパッドの厚さをしっかり確認しましょう。
サーマルパッド交換の効果は?
今回は、以下の手順で、サーマルパッド交換の効果を確認しました。
サーマルライト(THERMALRIGHT)のサーマルパッドに交換
サーマルグリズリー(Thermal Grizzly)のサーマルパッドに交換
バックプレート側のサーマルパッド交換は、変化なし
残念ながら、バックプレートのサーマルパッドの交換では、実感できるほどの効果はありませんでした。
気のせいか、バックプレートに伝わる熱量が多くなったような気がしますが、温度センサーなどで計測していないため確かではありません。
効果がなかった理由(仮説1)- 交換したサーマルパッドの品質に問題があった?
YouTubeでは、バックプレート側にサーマルパッドを貼っていない製品に、サーマルパッドを追加したことで、冷却効率が大幅に向上したという事例が紹介されていました。
今回使用したColorfulのビデオカード( iGame GeForce RTX 3080 Ultra OC 10G)には、バックプレート側にもサーマルパッドが貼ってあったため、それほど効果がなかったのかもしれません。
ということは、バックプレート側に使用した サーマルライト(THERMALRIGHT)のサーマルパッドの品質が、元から付いていたサーマルパッドと変わらなかったということになります。
- サーマルライト(THERMALRIGHT)のサーマルパッドの品質が卓越して高いものではなかった
- サーマルライト(THERMALRIGHT)のサーマルパッドが偽物だった
バックプレート側にもサーマルグリズリーのサーマルパッドを使っていれば、結果が違ったかも・・・
ヒートシンク側サーマルパッド交換の効果は絶大
ヒートシンク側のサーマルパッドの交換したところ、ビデオカードの冷却性能が飛躍的に向上しました!
これまでは、負荷をかけると10秒ほどでGPU Memoryジャンクション温度が110℃に張り付いていたのですが、サーマルパッド交換後は、どれだけ負荷をかけても100℃程度で安定するようになりました。
- サーマルグリズリーのサーマルパッドの品質が、元から使われていたサーマルパッドよりも高かった
ビデオカードRTX3080冷却の改善効果
今回は、下記の3つの施策を実施しました。
これらすべてを試した結果、実際の改善効果は、
- GPU Memoryジャンクション温度が20℃低下 (同一負荷を与えた場合)
- マイニング性能 約22%向上
と、驚くほど高い結果となりました。
大勝利じゃ!
改善前/BEFORE
改善前は、少しでも負荷をかけると、GPU Memoryジャンクション温度が110℃になり、10秒ほどでサーマルスロットリングが発生して、パフォーマンスが大幅に低下していました。
また、PCのガラス製サイドパネルも過熱していたので、サイドパネルを開けて扇風機の風を直接当てて冷却していました。
改善後/AFTER – マイニング性能が約22%向上
改善後は、GPU Memoryジャンクション温度は100℃程度となり、どれだけ負荷をかけても、一切サーマルスロットリングが発生することがなくなりました。
以前と同じ程度の80MH/s程度のパフォーマンスに落とせば、GPU Memoryジャンクション温度は90℃付近まで下がってくれます。
ビデオカードの排熱性能が大幅に向上して、ビデオカード本来の
パフォーマンスを活かすことができるようになったのじゃ。
性能 | 改善前 | 改善後 |
---|---|---|
ハッシュレート | 79 MH/Sec | 96 MH/Sec |
GPU Memoryジャンクション温度 | 110℃超 | 100℃ |
サーマルスロットリングの発生により、最大でも79MH/Secしか出なかったRTX3080のマイニング性能が、安定稼働でカタログ上限に近い、96MH/Secを出せるようになりました。
マイニング性能が22%近い性能UP
すごい成果じゃ!
- GPU Memoryジャンクション温度とは?
-
GPU Memoryジャンクション温度(Junction Temperature)とは、ビデオカードのメモリデバイス内部の半導体チップ表面の温度を指します。ビデオカード内部で最も温度が高い部位の温度ということですね。
今回使用したアイテム
今回の施策に使用した各アイテムを、再度ご紹介します。
ヒートシンク
ヒートシンクは、ビデオカードのバックプレートに装着可能で、CPUクーラーに干渉しなければ、どれを使ってもOKです。
増設ファン Cooler Master SickleFlow 120
使用しているPCケース内のエアフローに問題がある場合は、ファンの増設効果は絶大です。
増設ゴム製のファン固定用ピン(ゴムプッシュ)ファンの追加には、ネジをつかわずゴム製のファン固定用ピン(ゴムプッシュ)を使いました。
今回使用したNZXTのH510 EliteというPCケースには、パワーユニットの上部にメッシュ状の穴が開いており、その穴にゴムプッシュのピンを差し込む形でファンを簡易的に固定しました。
簡単にファンの取り外しができるので、便利です。
サーマルパッド
ヒートシンクとの設置面に必要な量は、2mm厚の製品を48㎝2ほど使用しました。
バックプレートとの設置面と合わせて、裏表で合計100㎝2程必要となります。
おすすめのサーマルパッド
少々お値段が高いですが、こちらのサーマルグリズリー(Thermal Grizzly)製品はおすすめです。
今回試した、もう一つのサーマルパッド
今回試した範囲では、THERMALRIGHT(サーマルライト)の製品では良い結果が得られませんでした。
GPUグリス
GPUのグリスとして使用しました。お値段は高いですが、定評がある製品を選びました。
サーマルパッド交換時の注意点
今回のサーマルパッドの交換は一筋縄ではいきませんでした。
陥りやすい失敗事例を、注意点としてご紹介します。
大失敗してしまったのじゃ
「謎の生物」と同じ失敗をしないように注意するのじゃ
元から使われているサーマルパッドの厚みをしっかり確認する
交換するサーマルパッドの厚さは、交換前のサーマルパッドと同じ厚さであることを確認しましょう。
製品によっては、複数の異なる厚さのサーマルパッドが併用されているケースがあるので注意が必要です。
GPUとヒートシンクの間に隙間が空くと、GPUの熱がヒートシンクに伝わらないため、GPUが過熱してPCが起動しなくなってしまいます。
GPUとヒートシンクが密着していることを確認する
GPUとヒートシンクが密着していることを確かめるには、GPUとヒートシンクの金属板を密着させてから外して、グリスが均等に拡がっていることを確認しましょう。
下記はGPUとヒートシンクの金属板が部分的にしか触れていない悪い例です。
このようにGPUとヒートシンクの間に隙間があると、GPUの熱が排熱できずに、PC起動後10秒程で電源が切れるようになってしまいました。
こうなったら最悪じゃ・・・
サーマルパッドは定評のあるメーカー製品を正規代理店から購入する
今回の検証では、2つのメーカーのサーマルパッドを試しました。
- サーマルグリズリー(thermal grizzly)
- サーマルライト(THERMALRIGHT)
先ほど、サーマルパッド交換の効果は? でもご紹介したとおり、ヒートシンク側で使用した「サーマルグリズリー」のサーマルパッドは素晴らしい効果があったのですが、バックプレート側で使用した「サーマルライト」のサーマルパッドの効果は実感できませんでした。
「サーマルライト」のサーマルパッドの効果は実感できず
「サーマルライト」の効果が感じられなかった可能性としては、
- 「サーマルライト」のサーマルパッドの品質はそれほど高くない
- 偽物、もしくは変質した商品が届いた
が考えられます。
購入した「サーマルライト」製品は「偽物?」、それとも「変質」していた?
あくまでも仮説(言いがかり?)なのですが、今回購入した「サーマルライト」の商品が、
- 「偽物」
- 品質管理上の問題による「変質」した商品
だったのではないかと疑っています。
偽物?
根拠:同じ製品のはずなのに、硬さが全然違う?
THERMALRIGHT(サーマルライト)の製品で気になる点がありました。それは、製品の固さです。
というのも、同じ商品の厚さが異なるパッケージを2つ購入したからです。
- 1.5mm – バックパネル側で使用
- 3.0mm – サーマルパッド側で使用 → サーマルグリズリーに交換
先に購入した1.5mmの製品は、指で押せばすぐにへこむほど柔らかかったのですが、3.0mmの製品は、とても同じ物質とは思えない程固く、まるで弾力がない硬質のゴムパッドのような感触だったのです。
これは本当に同じ商品なのだろうか?
仮説1 – 紙製のパッケージのため品質劣化していた?
THERMALRIGHT(サーマルライト)の製品パッケージは紙製で、サーマルグリズリー製品のような気密性のあるアルミパックではないので、もしかすると経年劣化による変化なのかもしれません。
仮説2 – やっぱり偽物だった?
今回は某巨大ECサイトに出品している香港のショップからの購入だったのですが、もしかすると、サーマルグリズリー製品のように、偽物が流通している可能性も否定できません。必ず正規代理店から購入するようにしたほうがよさそうです。
怪しいショップから購入しないように気を付けるのだ
よくある質問(FAQ)
まとめ
今回は、ビデオカードを冷やして、パフォーマンスを最適化する3つの方法をご紹介しました。
対策 | 1.熱伝導効率の向上 | 2.放熱能力の向上 |
---|---|---|
A.ヒートシンクの追加 | ||
B. PCケース内エアフローの改善 | ||
C. サーマルパッドの交換 |
これらの施策を組み合わせることで、
- ビデオカードの熱をヒートシンクやバックプレートに伝える熱伝導効率が向上
- ビートシンクの放熱能力を向上
させることができ、下記の効果が出ることを、確認できました。
- GPU Memoryジャンクション温度が20℃低下 (同一負荷を与えた場合)
- マイニング性能 約22%向上
ビデオカードの発熱によるサーマルスロットリングの発生に悩んでいる方は、ぜひご参考になさってください。
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