こんにちは、茶子です。
前回、スター・ウォーズのヨーダ師匠の名言をご紹介しました。
まだ記事を読んでいない方はぜひ読んでみて下さいね。
上の記事の中でもご紹介したのですが、ヨーダはスター・ウォーズの劇中で、人生の教訓となる数々のすばらしい言葉を残しています。
スター・ウォーズを日本語の吹き替えで観ていると気が付かないのですが、英語のセリフを注意深く聴いてみると、実はヨーダ師匠の英語には独特な響きがあるのです。
今回は、ヨーダ師匠が話す英語の特徴と、それが英語のネイティブスピーカーにはどのように聞こえるのかについてご紹介します。
Teach you, I will, how to speak Yodish, Herh herh herh.
教えてやろう、ヨーダ語をな・・。
ヨーダが話す英語は海外ではYodish(ヨーダ語)と呼ばれている
海外では、ヨーダが話す英語のことを「Yodish(ヨーディシュ:ヨーダ語)」と呼ばれています。Yodishの特徴は、文章の主語と動詞が逆になる、いわゆる「倒置」の形になっていることです。
ヨーダ語は動詞(Verb)が先に来る「倒置」を使っている
倒置とは、英語の一般的な語順である 「主語(Subject) + 動詞(Verb)」 の語順が、強調や文法上の理由で「動詞(Verb)+ 主語(Subject) 」の語順になることをいいます。例を見てみましょう!
(強いぞ、ベーダ―はな)
これは、「Vader is strong.」が普通の表現です。
(シスは滅ぼさねばならん。)
これも同じパターンで、「We must destroy the Sith.」が倒置が無い表現です。
本来先頭に来るべき主語(Subject)が後ろに来ていますね。
ヨーダ語には例外もある
奥が深いのがYodish(ヨーダ語)です。実は例外も多くあります。
(子供の考えることは、本当にすばらしいの)
こちらの文章は「The mind of a child is truly wonderful.」と書き換えることができますが、主語(Subject) +動詞(Verb)の語順は変わっていません。ただし、”truly wonderful”が先にくる形で倒置されています。
英語のネイティブスピーカーにはどのように聞こえるのか?
それでは、英語のネイティブスピーカーには、Yodish(ヨーダ語)はどのように聞こえるのでしょうか?
An Unusual Way of Speaking, Yoda Has (ヨーダの奇妙な話し方)という記事に言語学者の考察が紹介されています。
偉大なジェダイマスターを探しに、惑星ダゴバを訪れたルークが、そこに棲むヨーダと出会った際の初めての会話シーンです。
I’m looking for someone
人を探しているんだ
Looking?
Found someone, you have, I would say, hmmm?
人探しじゃと?ならばもう見つけたわけじゃな。
この会話に対する言語学者のコメントが秀逸です。
This is a clever device for making him seem very alien
(Yodishは)ヨーダをエイリアンっぽく見せるには効果的な手法であるGeoff Pullum, a professor of linguistics at the University of Edinburgh
ジェフリー・K・パラム (エジンバラ大学 言語学教授)
日本語訳が超訳になってしまいましたが、この「Very alien」という表現は面白いですね。
エイリアンっぽくって何じゃ?・・・。初めて聞いたわそんな言葉
超訳だから・・・。
外国の、外国人の、(…と)性質を異にして、かけ離れて、(…と) 調和しないで、相いれなくて、地球圏外の
WeBlio(英和辞典・和英辞典)https://ejje.weblio.jp/content/alien
実際にヨーダは人間ではないので、本来の「外国の(異邦の)」という意味に加えて、「地球県外の(異星人)」という表現はぴったりです。
記事によると、ヨーダのこのセリフは、英語のネイティブスピーカーにとって「エギゾチックで神秘的な響き」に聞こえるそうです。
ちなみに、スター・ウォーズの世界には銀河系の様々な種族が登場し、「Basic」と呼ばれる標準言語(Wikipedia:Languages in Star Wars)が使われています。ヨーダの話し方は、ちょうどこの”標準言語”を母国語としない人が話す、少したどたどしい感じのしゃべり方に聞こえるのでしょう。
Yodish(ヨーダ語)の言語学的な構造はO-S-V(目的語-主語-動詞)
先ほどご紹介した記事では、ヨーダ語の言語学的な特徴についても述べられています。
世界で最も使われている英語や中国語は、S-V-O (主語-動詞-目的語)の語順を取っています。日本語、アルバニア語では、S-O-V (主語-目的語-動詞)、そしてハワイ語や、ケルト語では、V-S-O(動詞-主語-目的語)の語順が使われているそうです。
これに対して、ヨーダ語はO-S-V(目的語-主語-動詞)の語順。
ヨーダ語の特徴について、分かりやすく解説しているYouTubeビデオをご紹介します。
このビデオの中では以下のシンプルな例文が紹介されています。
コメント欄から、Yoda is a Jedi master. は、S-V-O(主語-動詞-目的語)ではなくS-V-C(主語-動詞-補語)とのご指摘をいただきました。ありがとうございます!
上記でご紹介したビデオの中では、S-V-O(主語-動詞-目的語)という表記で説明されていたものをそのまま記載していました。
調べてみたところ、ビデオの中でS-V-Oと説明されている理由として、1)ネイティブスピーカーはS-V-Cという文型を気にしていない、2)言語学者がS,V,Oの語順で世界の言語を分類した、ことが原因だと考えています。
驚愕の事実!実はヨーダは普通の英語表現もよく使っていた!
冒頭でも触れましたが、実はヨーダの言葉はすべて倒置されているわけではありません。
短いセンテンスは、主語と動詞が入れ替わる倒置法がよく使われていますが、重要な決めセリフでは普通の英語表現を使うことが多いのです。このYouTubeビデオでは、ヨーダがYodish(ヨーダ語)ではなく、普通の英語をつかっている例が挙げられています。
ヨーダがYodish(ヨーダ語)を使っていない事例
これらの例は、ヨーダがYodish(ヨーダ語)をつかわないで、普通に喋っている例です。物語の要となるセリフは、通常の用法が用いられています。
(恐怖はダークサイドへ至る道じゃ)
(ダークサイドがすべてを曇らせておる)
(死は人生の定めじゃ)
ヨーダがYodish(ヨーダ語)を使っている割合は56%!
上でご紹介したYouTubeビデオでも紹介されていますが、ヨーダがYodish(ヨーダ語)を使っている割合が調査されています!
- Episode Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ では 48%
- Episode Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ では 66%
こちらの記事によると、ヨーダがYodish(ヨーダ語)を使っているのは56%だけなのです。ほとんどのセリフがYodish(ヨーダ語)だと思っていたのですが、以外と普通の言葉で話していたのですね。
Yodish(ヨーダ語)を使ってみよう
さて、ここまでお読み頂いてありがとうございます。もうすっかりYodish(ヨーダ語)の全貌が見えてきた気がしますね。
普通の言葉をヨーダ語に翻訳する方法を見つけたのでご紹介します。
シンプルな4つのルールが紹介されています。
ルール1:最初の2,3単語を、文章の後ろに移動する。
例:’You will find what you are looking for’ ‘Find what you are looking for, you will.’
だいたいのパターンはこのルールが使えそうです。
ルール2:否定形の文章はアレンジする
例:’I will not help you’ ‘I will help you not.’
否定文の場合は、NOTを最後につければOK。
ルール3:”Hmmmm….”を疑問符の後につける。
例:’Do you know what I am talking about?’ ‘Know what I am talking about, do you? Hmmm…?’
これはとても簡単ですね、Hmmmm…。
ルール4:”Yes”を文章の最後につける。
例:’You are here for my help’ ‘Here for my help, you are… yes…’
なんだかパターンが見えてきましたね…Yes..。 なんとなく、isn’t it? (だよね?)という付加疑問文の響きがあります。
普通の言葉をヨーダ師匠風に言い換えてみる
では、実際の文章をYodish(ヨーダ語)に翻訳してみましょう。
CNNのトップニュースをYodish(ヨーダ語)にしてみると・・・?
さっそく、CNN.COMで(この記事を書いている時点での)最新トップニュースから・・・
化学兵器を使用したとされるシリアへに対する多国籍軍によるミサイル攻撃を、ロシアのプーチン大統領が批判したというニュース。
(ロシアのプーチン大統領は、(米国・イギリス・フランス多国籍軍のシリアへのミサイル攻撃を)主権国家への侵略行為で国連憲章に違反していると批判した。)
この文章をYodish(ヨーダ語)に変換するとどうなるでしょうか?
うーん、ちょっと微妙な変換ですね。選んだ文章が長すぎたのでわかりにくくなってしまいましたね。
Yodish(ヨーダ語)の自動変換ツールを使ってみた
実は・・・、先ほどの文章の作成にはYodish〈ヨーダ語)の自動変換ツールを使っていました・・。
こちらのサイトに英語の文章を入力すると、自動的にYodish(ヨーダ語)に変換してくれます。いろいろな文章を試してみると面白いです。
どのようなロジックなのかは判りませんが、その文章がライトサイド(善)なのか、ダークサイド(悪)なのかを評価してくれる機能がついています。画面下部のグラフがそれですが、先ほどの文章はどちらでもない中間評価でした。
[こちらもおすすめ!] 英語の名言、英会話学習法の記事一覧
いかがでしたか?
今回は、ヨーダ師匠が話す英語の特徴と、それが英語のネイティブスピーカーにはどのように聞こえるのかについてご紹介しました。
ヨーダ師匠の名言をもっとみたい方は、「【ヨーダの名言と英語】スター・ウォーズは英語と人生の参考書~ヨーダの名言から人生のヒントを学ぶ」をぜひご覧になってみてください。
その他の英語の名言や英会話学習法などについて知りたい方は、「英語カテゴリー記事一覧」からどうぞ!
コメント
コメント一覧 (2件)
A Jedi master, Yoda is.はOSVではなくCSVですよ
ご指摘ありがとうございます!修正させていただきました。